- 2019.07.07
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活動の年次記録
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川づくり・街づくり情報
水害・地震水害支援システム
水害・地震水害対策支援システム
『市民の安全を守る君』(デモ版)を開発
(1)開発の経緯
東京東部の荒川と江戸川の間に囲まれた低地帯は、地盤高さ平均が海水面より低い、いわゆる0m地域です。河川堤防は高潮対策事業で整備されていますが、阪神・淡路大地震で高速道路が倒壊したように、人智を超える地震力に対しては、このように堅固にみえる河川堤防も万全とは言えません。
当NPOは、地震によってこの堤防が壊れてしまい、津波などによって増水した川の水が町に入ってきた場合に備えるために、GIS(地理情報システム)を活用した住民参画型の地震水害対策支援システムの開発を進めたいと考え、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・加藤孝明先生のご指導のもと、平成16年度全国都市再生モデル調査として、水害・地震水害対策支援システム『市民の安全を守る君』の基本設計及び画面設計、さらにデモンストレーション版の作成(※)を行いました。
この『市民の安全を守る君』はシミュレーション・システムです。まちの現状を知り、地震水害が起こった場合の課題について知った上で、「じゃあどうすれば安全なの?」、ということを行政と市民が一緒になって考えていけるような、その手助けをするための道具として使うことを目的としています。
(※)システム開発協力:(株)グローシスジャパン
(2)システム概要
①地域情報分析 ~ 市街地の現況を知る
②浸水シミュレーション ~ 被災状況を知る
③課題分析 ~ まちの課題を知る
④対策支援機能 ~ 対策を考える
(3)それぞれの機能
①地域情報分析 ~ 市街地の現況を知る |
②浸水シミュレーション ~ 被災状況を知る
二つ目の機能は、地震によって堤防が壊れたときに、川の水がどのように浸入し、広がっていくかを計算する機能です。堤防の壊れる箇所を設定してあげることで、何時間後に何丁目が何メートル、水に浸かってしまうかが想定できます。今回作成したデモ版においては、国土交通省荒川河川事務所が作成した洪水時のシミュレーション・データを転用しています。
30分後 | 1日後 |
③課題分析 ~ まちの課題を知る |
また、「市民の安全を守る君」は避難の状況をシミュレーションすることも可能なように考えています。この図は、避難勧告が出たあと、ある人は近くの高層住宅に避難する、ある人はスーパー堤防で浸水しないようになっている所に逃げていく、というような住民の方々の避難行動をそれぞれ想定・計算することで、その人たちが時間が経つにつれてどのようなことになっていくかを、人を青い点で表示することで図化したものです。
この図は計算結果に基づくものではなく、システムが目指すイメージです。将来、もっと複雑な計算ができるようなシステムを開発すれば、住民の方々一人一人の避難計画を計算しながら立てていくことも可能だと考えています。
1時間後 | 2時間後 |
④対策支援機能 ~ 対策を考える
避難シミュレーションではっきりした課題に対して、ではどのような対策が立てられるのか。この「市民の安全を守る君」は対策についても検討する機能を持っています。
まちの中にある集合住宅や商業施設などと防災協定などを結ぶことによって避難可能な空間として活用し、万が一の際の避難空間として活用すること、収容人口がどれだけ増え、避難がより安全かつスムーズに行われるようになるか、再度計算して効果を確認します。
このような検討を一つ一つ行って、誰がどこに避難するかを決めていくことで、何か起こったらまずおばあちゃんはここに避難して、その他の家族もどこそこに避難という決め事ができます。この決め事を避難訓練を通じて住民の皆さんがしっかり理解することで、より効率的かつ安全な避難が可能となります。また、ある地区をスーパー堤防化すると、どれぐらいの収容人口が増え、避難が容易なるか、などという評価が可能となります。
(4)まとめ
このように、「市民の安全を守る君」は、まちの使い方を変え、人の行動を変え、街を変えることで、より安全なまちにしていくための手助けとなる道具です。現在このプログラムは考え方まで出来上がった段階で、GISデータは現在のところ特定のモデル地域に限定されています。今後これを拡充する必要があります。また、浸水状況は国土交通省荒川河川事務所作成の洪水時のシミュレーション・データを転用しており、地震時の浸水に相応しく改良すれば更に説得力のあるものになります。今後、NPOとして、この様なシステムの改良・改善を河川管理者や地元区などに働きかけて行く予定です。