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活動の年次記録
河川見学会
平成14年10月9日
「東京の今の川と街を見る会」が荒川・隅田川で行われる
荒川ロックゲートをバックにした参加者
明日の街づくりを担う人たち、評議員の東京大学工学部大方教授が教えられている「都市工学科」の学生を中心に総勢30余名が、当NPOが主催する「東京の今の川と街を見る会」に参加しました。
見学に先立ち、石川理事長が挨拶し「東京東部の低地帯の災害の危険性に目を向けてほしい」との話がありました。
今回は荒川下流工事事務所の協力を得て、視察船「荒川号」に乗船、荒川岩淵水門を出発し荒川沿いに平井7丁目地区、亀戸大島・小松川地区で行われているスーパー堤防事業や、荒川ロックゲート、臨海副都心と見ていきました。
臨海部からは隅田川に入り、大川端や吾妻橋のスーパー堤防事業などを中心に見学しました。見学の後、多くのレポートが寄せられました。そのうちの一部の要旨を掲載します。
■ レポート要旨
(修士課程・有光頼幸)
船での新鮮な発見の一つは、交通手段として水上バス活用の可能性です.そして二つ目は、江東デルタ地帯を工場地帯として存続する地域と、マンション等に高度利用していく住居地域とを明確に区分すれば、スーパー堤防を整備していけるのではないかという発見です。
江東デルタ地帯は、東京の中心に近く、河川に囲まれた環境良好な地域なので、良質な住宅地が整備され、この地域に住まいを求めるニーズが続くと思われます.
(修士課程・大塚真)
川沿いの建物等が、川に対して後を向いている物が多く、川への印象を消極的にしています.
川を船で通れる特徴を生かし、河川を都県や区毎の境界線と考えるのではなく「河川をストリート化」したらどうでしょうか.そうすれば、河川に人の行き交いを作り出し、人々が楽しめ、河川に顔を向けた街づくりが進められ、周辺地区に良い影響を与えて行きます.
(修士課程・竹端直弥)
荒川左岸の街を今後考える上で次の2点を提案します.
第一に危機管理の共有です.
地元地権者等との合意形成に、危機意識を共有する一例としてワ一クショップ等の場で地元住民自らが街の模型に水を流し、被害状況を創り出します。
被害も与えられた被害想定でなく、自ら創った被害想定の為、より実感の伴った危機意識が定着します.
第二に地域の特色である水の街が感じられることです.
昔の曲がりくねった水路が、そのまま道路形状になっている地域の特色である「曲がりくねり」を「水の街」と言う印象を抱ける街へ整備して行きます.
(学部4年・古川美紀)
荒川・隅田川とも意外に河幅が広く、川岸には想像以上のオープンスペースが広がっており、スーパー堤防整備済と未整備区間との違いが顕著でした。
荒川と隅田川に挟まれた地域は、船から見て洪水の危険性が高く整備の必要性を感じると共に、荒川についての新たな魅力、そして地域住民の切実な願いが外部の人達にも問題意識が浸透することが重要と感じました.
(博士課程・村上顕人)
川を活かした街づくりの一つに、鉄道・バスに次ぐ第三の公共交通手段として、水上バスを積極的に導入し、地域内に多数の発着点を設けて、地域全体に歩行者・自転車ルートを整備する「環境・健康にやさしい水上・陸上交通ネットワークの構築」があります.
もう一つが、スーパー堤防の整備に合わせて川と一体化した住宅と公園整備する「住宅・公園を中心とするスーパー堤防周辺整備」をアイデアとして挙げたいと思います。