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活動の年次記録
市川・妙典地区見学会
平成15年10月16日
「市川・妙典地区の街づくり」見学会を開催
申出換地制"と"地権者法人"設立が成功の鍵に
市川・妙典地区で説明を受ける見学者
10月16日「川づくり勉強会」による「市川・妙典地区」の川と街づくり見学会が開催されました。この事業は市川市でも行徳地区に比べ土地区画整理に立ち遅れた妙典地区が土地区画整理事業にスーパー堤防建設と千葉県水道局給水所建設をからめて50ヘクタール余の土地の街づくりを推し進め、いかに短期間にそれを実現したかについて経験談を伺うのを目的に行なわれたものです。参加者は32名、活発な質疑が行なわれた後スーパー堤防の見学とその盛土地区の上に建設された学校、給水所、高層住宅等の見学(全て外観のみ)が行なわれました。(写真参照)
なお、土地区画整理事業は要約すると、施工面積50.05ヘクタール、組合員数332名、事業期間は平成元年1月から13年8月、総事業費189億円、合算減歩率28.65%でした。
又、スーパー堤防の建設場所は江戸川右岸妙典地区、面積16ヘクタール、延長1100m、幅150m、盛土高5m、勾配は1対28.2です。
当日はまず妙典地区の地権者法人「(株)妙典タウンセンター」篠田社長から事業展開の経緯と事業推進のために採用した手法についての説明が行なわれ、続いてスーパー堤防建設について江戸川河川事務所堀口沿川整備課長の説明が、最後に事業推進を代行した(株)フジタの本行首都圏土木副支店長、同東京営業部日比谷次長からこのプロジェクトの短期間での実現を可能にした要因についての説明が行なわれました。
これらの説明から今後の街づくりの参考になる多くの情報が得られました。それらを列挙すると次の通りです。
(1)区画整理を円滑に行なうために「申出換地制」を採用したこと。
(2)42名の地権者が土地を信託し、この土地に建物を建設、それを所有・管理・運営することを目的とした地権者42名の出資になる「地権者法人」を設立したこと。この法人が存在することにより街のシンボル的存在となるスーパーブロックへの大型複合商業施設の進出がスムースに行なわれたこと。更には藤和不動産、相模鉄道等の大手ディベロッパーが参画した等価交換方式による総戸数480戸の住宅事業なども地権者共同事業として行なわれたこと。
(3)スーパー堤防の建設に当たり盛土地区となった地域に市川市のモデル学校とも言うべき妙典小学校が新設され、更にその地下を利用して千葉県水道局の給水施設が建設されるなど行政との共同事業が効果的に行なわれたこと。
(4)事業遂行に当たってはまず土地区画整理事業組合の業務を一括代行する代行者を選任したこと。選任方法として候補3社を選定、この3社に1社あたり400万円を土地区画整理組合から支払い、土地区画整理事業並びに街づくりの案の提示を求め、(その後市川市からも提案があり、4案となった)その中からベストの案を提示したものを代行者に選任したこと。選任された代行者(株)フジタと土地区画整理組合役員が協力してきめ細かく丁寧に地権者に説明を重ねることにより三百数十名の地権者全体の合意形成が短期間に得られ、これが事業の早期展開を可能にしたこと などです。
因みにこの土地区画整理事業の際、移転を余儀なくされた住居は24戸で、2年間の移転中の費用は土地区画整理組合が負担しました。
勿論区画整理組合設立に先立つこと20年余、営団地下鉄の車両検査施設設置時に将来条件が整えば新駅を設置するという約束があり、これがこの事業の実現に大いに寄与したことは言うまでもありません。したがって、ここでの経験がそのまま他の地区に当てはめられるわけではありませんが、参考に出来る点は多いと思われます。今後もこの種の見学会を通じて街作りに役立つ情報を蓄積していく予定です。
参考までに当日交わされた質疑応答のうち本文に組み込み記載済み以外の質問と回答は次の通りです。
質問1:地区計画区域内の道路ネットワークと区域外の道路ネットワークとはどのように調整したのか。(あまりにも区域外のネットワークが貧弱のため)
回答:特に調整は行なわなかった。
質問2:区画整理では金利負担などの点からできるだけ工事期間の圧縮が求められるが、長期にわたる江戸川の高規格堤防の施工が区画整理事業の収支を悪化させることはなかったか。
回答:特になかった。
質問3:営団地下鉄の新駅は請願駅だったのか。そうなら区画整理事業の収支計画は均衡するのだろうか。
回答:区画整理事業に先立つこと20年余りに営団がこの地に車両検査場を作ったとき、将来駅利用が見込めるようになったら新駅を営団で整備することを約束していた。これがなければこの区画整理は成功しなかったかもしれない。
質問4:河川と区画整理の境界はどうなっているのか。
回答:旧河川堤防の天端は緑地広場、旧裏ノリは道路の一部として一体整備の上活用している。
質問5:総事業費189億円の内訳如何。
回答:殆どが工事費である。
質問6:「土地区画整理組合」および「地権者法人」を運営した基本理念は何か。
回答:地権者が個人で開発するより、この方式で施工した方が「プラス」になることを判断基準とした。