活動の年次記録

平成17年評議会議事録

特定非営利活動法人 ア!安全・快適街づくり

平成17年度 第1回 評議員会議事録

1.開催の日時

平成17年5月16日(月) 自 14時5分  至 16時5分

2.開催の場所

大成化工(株)会議室 葛飾区西新小岩3-5-1

3.評議員の総数

13名

4.出席評議員の氏名
  • 神戸 俊雄
    小関 尚久
    竹内 直佐
    正宗 量子
    増沢 一朗
  • 表決権行使 6名
    大方 潤一郎
    小川 信子
    勝部 弘
    沼田 明
    進士 五十八
    今沢 時雄
  • その他の出席者
    理事長   石川 金治
    副理事長 徳倉 真治
    理事       3名
    一般会員     45名
    会員外参加者   5名
5.議決事項
  • (1)同意事項
    第1号議案 平成16年度事業報告
    第2号議案 平成16年度収支決算
    監査報告
    第3号議案 平成17年度事業計画
    第4号議案 平成17年度収支予算
    第5号議案 役員の選任及び退任について
  • (2)報告事項
    第6号議案 評議員の就任及び退任について
6.議事並びに審議の経過

定刻開会に先立ち青山前東京都副知事からの祝電の披露があった。次いで定款に従い理事長が議長に小関評議員を指名、小関評議員が議長となる。議長が開会を宣し、本日の評議員会が定足数を充足し有効に成立している旨の事務局報告を受け、続いて増沢、竹内両評議員を議事録署名人に指名する。

議長(小関)

議事に入る前に、石川理事長が出席しているので、挨拶をお願いする。

理事長(石川)

災害は予想だにしない死角を突いて発生し、大きな被害をもたらす。これに備えることが必要で、当NPOもいつ発生してもおかしくない首都圏直下型地震に備えて、当地が置かれている地形的(物理的)事実を伝え、この事実が被害想定では無視されていることを訴え、取り敢えず減災をはかるために防災に対する関心を高めるため引き続き努力していきたい。

議長(小関)

本日は、評議員の他、理事、一般会員の他に会員外の参加者も出席している。各議案は共通するものなので、質疑は評議員、理事、一般会員、その他の参加者、どなたでも自由である旨を告げる。

次いで、第1号議案「平成16年度事業報告」、第2号議案「平成16年度収支決算」並びに監査報告を一括上程し、事務局及び監事に説明と報告を求める。

事務局

先ず宇賀が配布した資料を基に第1号議案「16年度事業活動」の概要を説明。次いで同年度の中心的活動だった「平成16年度全国都市再生モデル調査」で取り上げた3つのテーマ「①地震時堤防決壊による浸水シミュレーション手法の検討」結果概要を谷内が、「②地域が低地であることを住民が認識する“水位表示板”設置」概要を小林が、「③河川冷気と暖気の市街地への影響調査実施」結果概要を増沢から説明。
その後第2号議案「平成16年度収支決算」を宇賀が説明。
更に監事欠席のため監事に替わって監査報告書を宇賀が代読。

議長(小関)

ご質問、ご意見ありますか。

(質疑応答)
高井(江戸川区役所)

本NPOのホームページを見ているが、掲示板に「スーパー堤防は治水事業というより再開発事業ではないのか、又、いつ出来るのかわからないようなスーパー堤防の建設は無駄な公共投資ではないか」との投稿があったが、この意見についてどう考えているのか知りたい。

理事長(石川)

スーパー堤防事業は少なくとも1haほどの地盤沈下した土地に住んでいる人々に仮移転していただき盛土をするものである。その結果そこには空間が出来るのだから単に元に戻すのではなく、もっと住みやすい場所にするよう再開発し、街づくりを一緒にやろうと提案している。従来の縦割りの治水事業にとどまらず、いい街をつくるために総合的にやろうと考えているわけでこの方が街の為になるのではないか。

いつ出来るかわからないものを作るのは無駄ではないかと言う意見は水害に苦しんだ経験の無い山の手の人からは出るかもしれない。ただ、この地の人々はかって海抜2~3メートルのところに住んでいたのが地盤沈下で堤防が無ければ魚の住む土地に住むことになり、水害に苦しめられているのである。三大公害は空気汚染、水汚染、地盤沈下だが、このうち空気と水は努力で随分きれいになった。地盤沈下は進行こそ止まったが元には戻っていない。せめて堤防沿いの土地ぐらい元に戻してくれというのはこの地に住む人々のわがままでは無いと考える。スーパー堤防事業は必要な公共事業と考えて我々の活動を進めている次第である。

江原(新小岩北地区連合町会会長)

災害時には学校や新小岩公園に避難するよう指示を受けているが、町会や老人会の人からは避難先にたどり着いたところがそこは水浸しとか、学校の校舎は遠くて高齢者・障害者にはたどり着けなかったり、近くの人で既に満杯になっていて校舎内には入れないおそれがあるといった意見を聞く。もっと近くにあるマンションとか公団住宅などに住民以外でも避難して受け入れてもらえるよう行政が契約を結んでもらうことは出来ないか。又、新たに建つ大きなマンションなどでは外廊下やエレベーターホールを広くするよう行政で指導していただければマンション居住者にもメリットがあるのではないか。その上で住民以外の人々の避難をも受け入れてもらえるよう行政で契約してもらえないか。

青木(葛飾区経営政策部長)

阪神・淡路大震災以降、地震・水害・防犯対策など種々検討を進めてきた。このなかで地震対策として区と民間の間で避難先の確保、食料の手配などについて協定を結んだり、民間と民間の間でも地震の際の避難対策について協定を結ぶものも出てきている。ただ、従来は地震で発生する火災に対する対策が中心で、河川敷への避難を考えてきたが、種々の状況に応ずるため現在は学校への避難を中心に考えている。今後堤防が切れたときの避難方法などをシミュレーションしながら考えていきたい。一つの対策として船の活用を考え、従来保有の30艘に加え、今年新たに77艘を購入して各学校に配備し、高齢者・障害者の避難に活用したいと考えている。災害対策は行政のみならず、民間、地域が一体となって対応しなければならないので、これからも皆さんの意見を伺いながら出来ることから一歩一歩進めて行きたい。

議長(小関)

有事に際し一般の人がマンションなど他人の財産を利用することは難しい問題を含んでいる。今後NPO等の活動を通じて共同住宅などを社会的財として避難先に利用することの有用性が広く社会的に認知されることが必要である。これから作るマンション等の共用部分を避難場所に活用するため広くすることはコストも上がるので難しいが、社会的コンセンサスが得られるなら三位一体の改革で地方の裁量に任される交付金の中から街づくりの一環として避難場所として受け入れてくれるマンションの共用部分の拡大に対し補助金を交付することも考えられる。社会的に円満な解決方法を少しずつでもやっていくことが必要だろう。

鈴木(西新小岩3丁目町会会長)

荒川の右岸に閘門が完成すると伺っているがこの役割は何か。スーパー堤防が出来ると親水性が向上し、小規模な乗船施設があると船が利用しやすくなる。民間が責任を持って管理を行うなら設置は可能か。

高井(江戸川区役所)

閘門設置の目的は防災用資機材の出し入れとこれを通じて隅田川にもつながるのでリクリエーションへの活用の二点にある。今のところ係留設備は出来ていないが、東京都がPFIで公共施設内にマリーナの建設を検討している。

水川(第五建設事務所所長)

川に親しむため船を利用したい人も多いかと思うが、河川管理者の立場からすると無秩序に係留してもらっては困る。マリーナなど公共機関の作った船着場から船を乗り入れてもらうのが基本である。中川には係留所を設ける計画は今のところ無いが、スーパー堤防が建設され、環境が整備されたときには考えたい。なお、災害時の物資輸送のための船着場は行っている。

松田(元建設省河川局長、前リバーフロント整備センター理事長)

現在国によってハザードマップの作成が進んでいる。山の手はせいぜい目黒川、神田川の川沿いだけが危険地域とされているが、このあたりは全てが危険地域となっている。最近はこのあたりもマンションなど増えたが、一般的にマンションの住民は防犯がらみのセキュリティ問題などで外部の人間の立ち入りに抵抗が大きい。ただ、水害時などの避難は一過性のもので、数日間の避難なら同じ日本人の連帯感で受け入れてもらえると思う。また、水害時の学校などへの避難は現在の都会では水の中を歩くなどの無理をしないで、その場で2階などに上がり救援を待った方がよいと考える。
河川の利用についてみると、最近は規制緩和ということで目的さえ良ければ多面的利用を認めようという方向に向っている。ただ、これも市民側に決められた約束は守るというモラルがあることが前提で、この裏付けなしに規制緩和だけ進めても上手くいかないと思う。

糸賀(荒川下流河川事務所調査課係長)

閘門の役割は水位の異なる河川間の船の移動を可能にすることにある。堀切、小松川、新砂、戸田新田などにあるリバーステーションは災害時に発生する数十万の帰宅困難者を帰宅出来るようにするといった緊急避難用のもので、プレジャー用ではない。これが平時にプレジャー用に出来ないかという要望があることについては取り敢えず伺っておきたい。

信川(東京商工会議所葛飾支部会長)

一つ提案したい。10年前に災害時に役立つということで葛飾区の支援を得てFM放送を設立した。既に区役所、消防、警察とは防災面で協定を結んでいるが、NPOにも防災問題についてFMと協定を結んでもらい情報交換をしてもらいたい。皆さんも災害時には地域の放送なので災害時の人探しなどでお役に立てると思う。

議長(小関)

有り難い提案と思う。行政との関連も出てくるだろうが、理事会で検討いただきたい。

広部(会員、葛飾の川をきれいにする会会長)

マンション等の避難場所の問題だが、公団・都営住宅などは周りの塀こそとりはらわれているが、一つの独立地域になって部外者には敷地内に入りにくいきらいがある。いざ災害といっても駆け込みにくく、マンションの人も近隣住民との交流が出来ていない。何かの機会に相互の交流が出来るよう考えて欲しい。

議長(小関)

この問題はどなたも答えにくい問題かと思う。今一般的に言われていることは日常防犯に気を配らなければならないことで、従来学校が地域に開かれたものとして開放されてきたが、最近いろいろな問題が起こり、クローズされたものにならざるを得ない社会的状況にある。一方避難という観点からするとこういったバリアは無くならねばならない。NHKの「ご近所の底力」という番組で町会の人が3階以上のビルを回って、水害時に避難先として使わして欲しいと申し入れ、いくつかのビルでOKをもらったというようなことが報じられた。日常からこのような環境作りを地域でやっていくことが必要なのではないか。勿論そこにずっといるわけではなく水が引くまでの期間ということで、きちっとルールを作ってお願いすることが必要だろう。

中川(東新小岩7丁目町会会長)

平和橋近くの0m地帯にすんでいるものだが、我々がもっと早く気付いて自分達でやるべきことをこの町に住んでいないこんなに多くの方々がやっていただいていることに感謝したい。これから各町会を回って相談しながら是非とも完成させていきたい。
国の対応は少子化問題も、年金問題もなってしまって始めてやるということが多い。この会は水が来ないように堤防を作ろうということで大変意義深いものである。これから一生懸命頑張っていきたい。

議長(小関)

大変力強い決意表明を伺い感謝している。質問も終わったようなので第1号議案「平成16年度事業報告」、第2号議案「平成16年度収支決算」並びに監査報告について、評議員の方ご同意頂けますか。

「異議なし」の声あり。

議長(小関)

異議なしと認め、第1号議案「平成16年度事業報告」、第2号議案「平成16年度収支決算」並びに監査報告については提案のとおり評議員会で同意されました。

次に第3号議案「平成17年度事業計画」、第4号議案「平成17年度収支予算」を上程し、事務局の説明を求める。

事務局(宇賀)

配布した資料に基づき説明する。全国都市再生モデル調査関係の受託金とその支出については収支共に平成17年度の発生となったため、平成17年度に特別会計予算を設けて処理すると説明。

議長(小関)説明を終わりました。ご意見、ご質問はありますか。無いようなので第3号議案「平成17年度事業計画」、第4号議案「平成17年度収支予算」について、評議員の方ご同意いただけますか。

「異議なし」の声あり。

議長(小関)

異議なしと認め、第3号議案「平成17年度事業計画」、第4号議案「平成17年度収支予算」は評議員会で上程どおり同意されました。

次に、第5号議案「役員の退任と選任」を上程し、事務局の説明を求める。

事務局(宇賀)

監事の宇賀俊夫(うがとしお)と鈴木六男(すずきろくお)さんが退任し、後任には高見憲一(たかみけんいち)さんと延満一記(のぶみついちき)さんを選任いただきたい。就任承諾は得ている旨の説明をする。

議長(小関)

説明が終わりました。監事の宇賀俊夫(うがとしお)さんと鈴木六男(すずきろくお)さんが退任し、後任として高見憲一(たかみけんいち)さんと延満一記(のぶみついちき)さんを選任する件についてご了承いただけますか。

「異議なし」の声あり。

議長(小関)

第5号議案「役員の選任と退任」は評議員会の同意を得ました。

議長(小関)

次に第6号議案「報告事項」ですが、本会議の終了を以って私、小関尚久(こせきなおひさ)は評議員を辞任し、私の前職、(財)東京都防災・建築街づくりセンター理事長に新たに就任した青木治道(あおきはるみち)さんが評議員に就任します。ご了承いただけますか。

「異議なし」の声あり。

議長(小関)報告は了承されました。本日の評議員会を終了します。

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