活動の年次記録

平成21年度総会

21年度総会盛況裡に終了

-人間国宝・小宮康孝氏の示唆に富むお話を楽しむ-

平成21年度の定時総会は去る5月21日14時から大成化工株式会社厚生寮で、評議員会、理事会に続き総会が地元の皆さんも大勢参加して開催されました。

総会の会場風景
総会の会場風景

今回は開会に先立ち、地元在住の人間国宝・江戸小紋染師の小宮康孝さんのお話と、日本女子大名誉教授で当NPOの評議員の小川信子さんと東新小岩7丁目町会長中川榮久さんを交えてのトークセッションが行われました。

お話の中で小宮さんは人間国宝に認定された限りは昔から日本に残っている文化を次代に伝えることが責務であり、あとの人が仕事を続けるためにはお客さんに喜んでもらい、楽しく仕事ができるようにすることが必要なことを強調されました。また、江戸小紋の場合型紙が重要な役割を果たしていること、関東大震災や近隣の火災による類焼、戦災で何度も失ったことを教訓に、戦後すぐに3階建ての倉庫を建て保管したことで昭和22年のカスリーン台風による水害から免れたことに触れ、常に自分の住んでいる場所・立場を考えて、「考え、絶えず用意すること」が重要で、防災についても同じことが言えるとの指摘がありました。

更に、伝統の継承とはそれを単に墨守するのではなく、常にそれを破る努力が必要なこと、それも欲のために破るのではなくお客様のことを考えて破ることが大切との指摘もあり、ユーモアに富んだその語り口の中に深い含蓄を含んだお話は来場者の心をとらえて離さないものがありました。

最後に、近年この地の多くの川が暗渠となり、水に親しむ機会が失われつつあることは遺憾なことだと指摘し、暑さ・寒さを和らげてくれる七曲りの水は葛飾区の最大の財産であり、水のありがたさに思いを致すと共に、水のこわさということも忘れずに、安全・安心・快適に暮らしてほしいと締めくくりました。

次いで評議員会に入り、議事に先立ち、石川理事長から最近の動きを復習したいと次のような話がありました。第1は新しい断層が次々と発見され、それらの断層の揺れが阪神淡路級のもが多く、地震の予知というものが無理ではないかと思われてきたこと、堤防は原発のような点とはと異なり線なので、どこかで断層と交わる危険性が高いこと、加えて東海、東南海・南海、首都直下地震が連動して起こる可能性も指摘されており、その場合比較的小さいと思われていた直下型地震のマグニチュードも増幅されかねないことです。

次に水害については21年1月に国公省による荒川堤防決壊時の被害想定が発表になったが、そこではじめて海抜0メートル地帯の浸水被害がとりあげられたことです。ただこれもマスコミでは大きく報じられず、銀座の浸水のみが話題になりました。この他専門調査会の各自治体へのアンケート結果では緊急避難先としてのマンションの必要性が54%の自治体で言われているのに、受け入れについての話し合いはほとんど行われていないこと、広域避難についても避難先自治体との連絡はとれておらず、誘導のマニュアルも出来ていないことが浮き彫りになっています。

今後の課題として、海抜0メートル地帯での堤防決壊による被害は富士山の噴火のもたらす被害より深刻なものがあるので、対策を具現化するためにそこに住んでいる住民が声を上げることが必要で、葛飾区ももっとそれを支援する情報発信をしてほしいとの指摘がありました。

その後、議案の審議に入り、まず第1号議案、「20年度事業報告」と第2号議案「20年度決算」(含む特別会計決算)並びに「監査報告」の説明、報告があって原案通り承認されました。

議事進行に耳を傾ける出席者
議事進行に耳を傾ける出席者

引き続き、第3号議案「21年度事業計画」及び第4号議案「21年度収支予算」についての説明があり、これも原案通り承認されました。

この間一般会員や地元の方からホームページ総集編作成の要望、ワークショップやGISといった新しい活動についての説明要請、地域の底力再生事業への取り組み方などに関する質問・要望が有り、熱心な質疑応答が行われました。

引き続き第5号議案「定款の一部改訂」も原案通り承認され、最後に第6号議案「役員の選任」が上程されこれも原案通り承認されました。

議案審議終了後、新たに理事に就任した東京大学の加藤先生の挨拶があったのち、長年ホームページの巻頭を飾るほのぼのとした絵を提供いただいた伊藤良子さんに感謝状の贈呈などがあって総会は終了しました。

総会終了後恒例の懇談会が開催されましたが、人間国宝小宮さんも参加され、新たに会員となった地元のご婦人からも元気なご挨拶があって和やかな意見交換のうちに終了しました。

今年度も河川環境管理財団から助成金を受けて広域ゼロメートル市街地研究会が実施する活動への協力や、地元連合町会が応募する「地域の底力再生計画」への応募を支援することなど活動計画は目白押しです。どうか皆様も引き続き当NPOの活動をご支援くださるようお願いします。

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