- 2023.07.02
NPO法人について
令和4年度総会結果について(お知らせ)- 2022.10.15
輪中会議とシンポジウム
2022/10/15 第15回「輪中会議」を開催しました- 2022.07.03
NPO法人について
令和3年度総会 全議案承認で終了- 2021.12.03
ア!安全・快適街づくりニュース(年刊誌)
2021.09 vol.27- 2021.04.24
輪中会議とシンポジウム
2021/5/9に Web「輪中会議 2021」を開催しました
活動の年次記録
27年度総会盛況理に終了
-恒例の講演は国立極地研究所准教授、岡田雅樹氏が講演、
南極越冬の経験を踏まえて観測隊の防災対策を披露-
当NPOの平成27年度総会は6月28日、日曜日に新小岩北地区センター・ホールで開催されました。恒例の講演は国立極地研究所准教授でオーロラの研究をされている岡田雅樹様の「南極の自然と観測隊の防災対策に学ぶ」と題する講演でした。当日は梅雨の晴れ間で午後には真夏日となりましたが、今年の春まで地元二上小のPTA会長も務められ、地元の皆さんにも顔を知られた講師が南極越冬の経験をお話になるとあって、多くの方が来場し熱心に聞き入っていました。その後評議員会、理事会に引き続き総会が行われ、活発な質疑が行われた後、予定された議案は全て提案通り承認されました。
岡田氏は講演で6年前に49次観測隊の一員としてオーロラの観測のため昭和基地に1年にわたり滞在したこと、昨年には55次観測隊の別働隊として地学班に加わり、スノーモービルに乗って移動しながら1ヵ月間観測を行うという短期出張も行ったこと、オーロラの観測は人工衛星や電波を使って観測を行うこと、昭和基地はオーロラ帯オーバル内に位置し、オーロラの観測に最適なロケーションにあることなどに触れた後、今回の講演のメインテーマである観測隊の防災対策について次のようにお話になりました。
「安全管理を考えるうえで重要なことは自然現象を理解することです。南極の気温は高いときで-5度、一番低いときで―35度です。南極では地震も雷もありませんが、年間を通じて湿度は30%以下で、乾燥しているため火事になりやすいことと、ブリザードになると風速45m/secの強風が吹き、視界が極端に悪くなります。おまけにブリザードは1週間も続くことがざらです。このため、火事に対する備えとブリザードに対する備えが最重要事項となります。まず、ブリザードが来るとなったら、直ちに居住棟に戻り、総員点呼、外出は一切禁止となります。万一、居住棟以外にいてブリザードの襲来に気付かないと一週間も孤立してしまうので、各人は常時無線を持っており、緊急の連絡を受けられるようになっています。また、屋外観測点や他の観測棟と居住棟の間にはロープを張ってあり、これを伝って移動することが方角を見失わないために必要なことです。なお、天候に関係なく夕食事には必ず点呼を行い、全員がそろわないと食事もとれないようになっています。
この他屋外での訓練としては2人1組・テントに1泊のビバーク訓練や、万一クレバスなどに転落した時ロープをよじ登っての脱出訓練、負傷者の救出訓練、消火器を使っての消火訓練などが行われています。消火器訓練は夏季に5日、冬季に5日行われ、万一建物などが火事になったら類焼を防ぐためその建物の破壊訓練も行われます。この他怖いのは停電で、4時間も続けばすべての配管が凍結してしまうので、早急な復旧作業を行うことも重要な役割となっています。
これら安全対策のための訓練書は代々順送りで観測隊から次の観測隊に引き継がれ見直されていること、ヒヤリハット集も順送りで整備され、過去の未遂の事故に学ぶことも大切なこととされています。もちろん、観測隊の本業はそれぞれの分野における観測作業であることは言を待ちませんが、少ない人数の越冬メンバー一人ひとりが安全管理に心掛けることで全員が無事に越冬生活を送り、所期の目的をはたすことが出来るわけで、全員参加で防災訓練に努力している次第です。
皆さんの日頃の防災活動にもお役に立つ事もあるかと思いおはなしさせていただきました。」
講演終了後、なぜ昭和基地はオーロラの観測に最適なのか(オーロラは南極・北極で見られるが、南極の全地域で見られるわけではなく、オーロラ帯オーバルで見られ、昭和基地はたまたまその中心にあったため)、南極では生野菜など食べられないものが多いのでは(食料は日本から輸送され、一人当たり年1トンの食糧が必要になる。ただ生野菜は保存がむつかしく1ヶ月で品切れとなるし、 牛乳は3ヶ月、全卵たまごも日持ちしない。近年はLEDでレタスなどを室内で栽培するようになった)、温暖化の影響は如何(確かに影響は現れており、西南極[チリ側]では100年に3度、東南極[昭和基地側]では1度の温度上昇が見られるとの報告もある)防災対策の情報交換はどう行われているのか(基地内では隊員全体が集まって意見交換をしており、世界的には他基地での事故情報や交通路についての情報交換などが随時行われている)、などの活発な質疑応答もあって時間を延長しての講演となりました。
次いで評議員会・理事会・総会が行われました。
今年も理事で東新小岩5丁目町会長の青柳氏が司会を務め、冒頭に青山元東京都副知事からの祝辞を紹介した後、東新小岩七丁目町会副会長の百瀬氏が評議員会の議長に指名されました。議長の要請で石川理事長が挨拶に立ち、設立以来の歩みを振り返ると共に、これから実施しようとしている活動について次のような話がありました。
「NPOを立ち上げた時私達が地域の一員となるため、水位表示板の設置や、葛西臨海公園でのボートを使った避難訓練、河川のもたらす恵みを理解してもらうための温度測定など身近な問題に取り組むことで活動を始めました。その後この地域で水害が起こった時の危険性を認識していただくためにワークショップや、小中学校での防災に関する出前授業の実施、地域の各分野の皆さんに参加してもらい自由に討議する輪中会議の開催などを実施してきました。これらの事業は町会長さんにも参加していただいている毎月の事務局会議で討議して決めたものです。最近では東京都都市づくり公社の支援を受けて西新小岩三丁目の有志の皆さんがおこなっている勉強会を支援しながら、地元のお祭りや盆踊りにも参加して町会の一員になろうと努めています。
今後も勉強会や輪中会議、小中学校での出前講座は引き続き実施して参りますし、東大メンバーを中心とした広域ゼロメートル市街地研究会の指導のもと、地元中学生の皆さんに「わたしののすきなまち」をテーマに議論して取りまとめてもらおうと準備を進めています。今後も「地域と共に活動を」をモットーに活動を続けていきますので、地域の皆さんにもNPOの会員となっていただき、ともに進んでいきたいと考えています。」
「理事長からこれまでの活動や今後の取り組みについて話があったので、議案の審議に先立ち、会場の皆さんからNPOの活動に対するご意見や質問などを伺いたい」との議長の発言があり、出席者との意見交換、質疑応答が行われました。この間に提起された質問とそれに対する回答を要約すると次の通りです。
質問1:
総会終了後40名余りの方が参加してささやかな懇親会を開催しました。地元の皆さんも多く参加され、なごやかな懇談のうちに6時過ぎに散会となりました。今年も外部から大きな助成金を受ける予定はありませんが、「輪中会議」の開催や勉強会の支援を継続的に実施すると共に、来年実施予定の「わたしのすきなまち」プロジェクトの準備を着実に進める予定です。皆様方の一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
以上