- 2023.07.02
NPO法人について
令和4年度総会結果について(お知らせ)- 2022.10.15
輪中会議とシンポジウム
2022/10/15 第15回「輪中会議」を開催しました- 2022.07.03
NPO法人について
令和3年度総会 全議案承認で終了- 2021.12.03
ア!安全・快適街づくりニュース(年刊誌)
2021.09 vol.27- 2021.04.24
輪中会議とシンポジウム
2021/5/9に Web「輪中会議 2021」を開催しました
活動の年次記録
出前授業「親子で語り継ぐ大規模水害時の避難について」南講師&金講師(2016/12/6)
平成28年度葛飾区地域活動団体助成事業(上期)
「親子で語り継ぐ大規模水害時の避難について」出前授業報告
日時: 平成28年12月6日(火) 13:40~14:25 第5校時
場所: 上平井小学校児童集会室
対象: 第6学年56名
講師: 東京大学院 南貴久、金池潤
概要: 午後から快晴の空は風が強く吹くものの、教室の集会室にも暖かな日差しが差し込んでいた。
机と椅子は廊下に運び出され、生徒は床に思い思いの姿勢で座りながら二人の講師を迎えた。
今日の出前授業は、南講師と韓国からの研究生金(キム)講師も参加されて、「水と親しみながら災害の想像力鍛えよう」をテーマに、二人の自己紹介から5
時間目の授業が始まった。
<南講師>
講師は先ず、「災害の種類を知ろう!地域の災害の危険について知ろう!」と呼び掛け、「色々な自然災害があるね。どんなものがあるかな?」と早速生徒に質問を出した。
スクリーンには8種類の災害が書かれるようになっており、生徒が手を挙げて答える度にその災害名が映し出された。
生徒達からは、「地割れ、台風、水害、土砂災害、日照り、噴火、大雪、竜巻、山火事、雷」と矢継ぎ早に災害名が出てきたものの肝心のものが出ず、担任の先
生は堪らず、「頑張れ!」と生徒達を励ました結果最後に、大勢が「地震!」と答え、画面の空欄が漸く埋まり、講師はほっとして用意した次の画面へ移った。
「日本はとても地震が多い国で世界の20%が我が国で発生しています。プレートと言う言葉を聞いたことがある人は?阪神淡路大震災って聞いたことがある人は?」と次々に質問を出し、その都度多くの生徒の手が挙がった。 「地震にもプレート型、活断層型、プレート境界型-・・と言った種類があります。」
更に、「今年の大きな地震を知っている?東日本大震災の時皆小学校に入っていた?」と質問を続け、生徒の多くが「知っている。熊本地震!入っていた。」と答えた。
次が、水害の授業だった。
「大雨の後、山間部で土砂災害が発生するけど『広島の土砂崩れ』を知っている?」と、聞くと殆んどの生徒の手が挙がった。
「土砂災害」にも種類があります。例えば、土石流、がけ崩れ、地すべり、・・・等です。水害ですが、去年の常総市で鬼怒川が氾濫したのを知っている人?」と聞くと殆んどの生徒が手を挙げた。
「水害にも何種類かあります。鬼怒川の氾濫は外水氾濫で、ゲリラ・集中豪雨などで床下が浸水したり、道路が冠水するのが内水氾濫で、その外に高潮があります。
高潮は、台風や低気圧が通ると、下の水蒸気が持ち上げられてその代わりに風が吹き込んで水面を持ち上げるんです。」と分かりやすく説明した。
ここで、韓国で集中豪雨により発生した水害の様子が、映像で金講師から紹介された。
<金講師>
韓国も日本と同じように、都市型の集中豪雨で水害が頻発しています。
この写真は釜山の集中豪雨で被害を受け、死亡者も出ています。
次の画面は学校の裏山から突然土石流が発生し、3階まで泥に埋まり、生徒達が避難している時の映像です。
次は山崩れで老人ホームの1棟が倒壊し、もう1棟が屋根まで埋まってしまった映像です。
いずれの写真も生徒達は、大雨が降る度にテレビや新聞で報じられる時の写真と似ており、画面と若い講師共々親近感を持った様子だった。
<南講師>
授業は再び南講師に引き継がれスクリーンは、1947年関東地方を襲った「カスリーン台風」の惨状を映し出した。
「ゼロメートル地帯って聞いたことがある人はいる?」の質問に多くの生徒が手を挙げ、次の質問、「ゼロメートル地帯ってどんなこと?」の答えが「水面よりも低い土地の事です。」と正確に答えた生徒に、講師は吃驚した様子だった。
スクリーンは中川の堤防を中心に左側が道路と家並みを、右側に中川の水面と高速道路を映し出し、如何に家並みが水面より低いかを生徒は再認識したように画面に見入っていた。
講師は、「ここでクイズを出します。何故ゼロメートル地帯になったか、1番は地震で地盤が下がったから。2番目は魚が持ち上げたから。三番は地下水を汲み上げたから。
大勢の生徒は1番が原因と答え、2番3番は0名で担任の先生だけが正解だった。
「地盤沈下の目撃者である手押しポンプが東新小岩にありました。街中の電柱に赤い帯が張られているのを見たことがある人?」との質問に殆んどの生徒が手を挙げた。
「若し辺りが浸水して、家に取り残されたら水は2~3週間水が引かない。土地が低いからポンプ排水するしかないからです。 従って早目の避難が大切です。
今日家に帰ったら、家族の人達皆で何処へどのように避難するかを話し合って下さい。荒川ハザードマップを見たことある人?」と講師が尋ねても、手を挙げる生徒は僅かだった。
「では、ここで、スマートホンで、ダウンロード出来る防災アプリ『天サイ!まなぶ君』を紹介します。
これは葛飾区が開発したもので、無料のアプリです。街を歩いていて、もしも浸水したら、どの位の深さになるか、体感出来ます。このアプリを使ったことのある人はいますか?」と講師が尋ねたが誰もいなかった。
そこでクイズを出した。「災害の大きさは何で決まりますか?① 自然の現象の大きさ。② まちや建物の構造 ③ 人間の対応力。」生徒はそれぞれに手を挙げ、答えは、ばらついた。
講師は、「いずれも正解です。」と言いながら、①~③に関係する写真を映し出した。
特に③に関係するものとして「新小岩公園へ行ったことのある人?」と聞くと全員が「行ったことがある。」と答えた。
講師は、「災害には人間の対応力が必要です。あの公園が避難する場所として、安全な高台になる予定です。」と説明した。
次に、「水に親しむ、をお話ししましょう。この画面のテラス知っている?」と聞くと生徒全員が手を挙げ、「では行ったことのある人?」と尋ねると全員「行ったことがある。」と答えた。「日本には川と親しんでいる地域が沢山有ります。いずれも街中なのに自然豊かで美しい街です。」と言いながら、講師自身が撮影した三島市、富山市、小樽市の「水が豊かな親しめる風景」を、続いて世界の「街と自然と水が一体になりそこに人々が憩い・生活している姿」を次々に紹介した。
生徒達は、初めて見る「水と親しみ、楽しむ世界の人々」に吃驚感心した様子だった。
最後に講師は、「自然の中で暮らすことは豊かさと危険の両面があります。自分達が暮らす地域の危険性を理解し、災害の時にどうなるかを想像しておくことが大切です。家族一緒に話し合ってみて下さい。災害の被害の大きさは、自然の現象の大きさ、まちや建物の構造、人間の対応力で決まります。そして中川七曲りや水辺をどう使うかは皆の工夫次第です。」と言って両講師の授業は終わった。
あっという間の45分間、生徒は夢中で、食い入るように画面を見つめ、講師の質問にもてきぱきと答え、教わる者と教える者とが一体となり、中身の濃い充実した5時限目の授業だった。
終了後、田辺校長先生と両講師が授業についての感想を親しく話合い、継続することの大切さ・必要性を確認し合った。
この出前授業開催に当たり、大変お世話になった田辺校長先生はじめ土屋副校長先生、第6学年担任の大友、林両先生に心より御礼申し上げます。
有難う御座いました。