- 2023.07.02
NPO法人について
令和4年度総会結果について(お知らせ)- 2022.10.15
輪中会議とシンポジウム
2022/10/15 第15回「輪中会議」を開催しました- 2022.07.03
NPO法人について
令和3年度総会 全議案承認で終了- 2021.12.03
ア!安全・快適街づくりニュース(年刊誌)
2021.09 vol.27- 2021.04.24
輪中会議とシンポジウム
2021/5/9に Web「輪中会議 2021」を開催しました
活動の年次記録
平成28年度定期総会盛会裡に終了
平成28年度定期総会について
-講演は加藤先生、水害リスクと賢く共生して親水都市を目指そう-
当NPOの平成28年度定期総会は6月26日、日曜日に新小岩北地区センター・ホールで開催されました。会に先立ち平成27年度中に逝去された石川前理事長、徳倉元副理事長、鈴木前西新小岩三丁目町会長のご冥福を祈って黙祷を行いました。このお三方とも当会創立以来、会の発展に多大の貢献をはたしてきた方々で、11月20日には「三氏を語る会」を開催することになっています。
次いで恒例の講演は東京大学生産技術研究所准教授で当会の理事でもある加藤孝明先生による「水害リスクと賢く共生する親水都市へ」と題する講演でした。当日は梅雨の晴れ間で夏日となりましたが、多くの方が来場し熱心に聞き入っていました。その後評議員会、理事会に引き続き総会が行われ、活発な質疑が行われた後、予定された議案は全て提案通り承認されました。
加藤先生の講演はこの1年間に国土交通省や東京都の委員会でゲストスピーカーや委員として話したことや、政府広報番組の「徳光記者が知りたいこと」に出演して感じたこと、東京都が新たに発行した「東京都市白書」、英文版では‘Tokyo City View’の「水害に強い街ののページを担当したこと」、今年の5月29日にTBSテレビで放映された「うわさの東京マガジン」を見て感じたことについて話をされました。
注目すべきことは国や東京都の要請で防災の観点から話した際に、新たに「水辺ルネッサンス構想」を打ち出したことです。これはかねて葛飾区の要請で検討してきた浸水しても大丈夫な市街地、浸水対応型市街を作ることに加えて水辺を生かした素晴らしい街を作ろうという試みです。浸水対応型市街地となるには第1ステップとして浸水直後に人命を守るために近場に避難場所を作ることであり、次いで第2ステップとして浸水してもそこそこ暮らしていけるような備えをしておくことであり、その上で第3ステップとしで浸水対応型の市街地として例え浸水してもその被害はわずかであり、復興も容易な市街地を作ることです。
葛飾区についてみていくとこの地域がゼロメートル市街地になったのは地盤沈下と昭和30年代のわずか10年余りのうちに急速に進められた市街地化がもたらした結果です。これを今後30年、40年とかけて修復していくことが必要ですが。葛飾区は既に都市マスタープランの中にその計画を織り込んでおり、その一部は新宿(にいじゅく)未来都市公園や新小岩公園の高台化などに表れていると思います。他方、この地域には中川の七曲りのようなヨーロッパの街、例えばパリのセーヌ川のほとりを彷彿させるような素晴らしい水辺の資源を持っています。そこで①潜在的都市づくり資源を活用し、②気候変動に備え、③地盤沈下という公害への補償を求めていくことが今後の進む道となるでしょう。特に今強調すべきは②の気候変動に備えることで、いますぐに対策をとらないと将来「遅れてきた20世紀の負の遺産」と言われかねません。
2013年3月に東京都は「東京都市白書」英文は”Tokyo City View”と題する白書を作成し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目指して東京を海外にPRしていこうとしています。
この中の「水辺のネットワークと地域資源」の項に荒川以東でたった一つ、初めて選ばれたのが「中川の七曲り」の景色でした。更に「水害に強いまちづくり」のページで加藤先生は「一見、広大な海抜ゼロメートル地帯に市街地を抱える東京は浸水のリスクが高い。しかし一方で、そこには親水空間が広がる豊かな生活文化が培われてきた。次の時代に向けて、大都市東京の水辺空間を見直し、河川と市街地の関係性を再考し、川の恵みと脅威をバランスさせた水害リスクと共生する新しい文化を創出することこそ今後のめざすべき方向」と指摘されました。
最後に我々はまず公園を高台化して人命を救うと共に、被災した後でも人々がそこそこ暮らせるための対策を考え、そして最終的には浸水対応型の市街地を作り、持てる水辺の資源を生かして素晴らしい街が出来るように頑張りましょうとして講演を締めくくられました。
次いで評議員会・理事会・総会が行われました。
今年も理事で東新小岩五丁目町会長の青柳氏が司会を務め、冒頭に青山元東京都副知事からの祝辞を紹介した後、東新小岩三丁目町会副会長の渕井恵子評議員が評議員会の議長に指名されました。議長の要請で成戸理事長が挨拶に立ち次のような挨拶がありました。
理事長(成戸)この会は先ほどの青山教授の祝電にもあったように設立が平成14年、来年が15年の節目の年になる。ところが昨年11月から今年の2月にかけて会の創立以来その発展に多大の貢献をされてきた石川前理事長、徳倉元副理事長、鈴木前西新小岩三丁目町会長のお三方が相次いで逝去された。ついてはこのお三方を語る会を11月20日に開催することを企画しているのでご予定を頂きたい。お三方の功績はその会で皆さんから語られると思うが一つだけ挙げると新小岩公園の高台化の実現に寄与されたことだろう。当会も最初はスーパー堤防の勉強会からスタートしたが、この地域での早期実現は難しいことから、公園の高台化に取り組むことに変更し、自分もこれを引き継いでいきたい。また、浸水対策については町会の皆さんと一緒に取り組んできたが、これからは親水というテーマにも取り組んでいく必要がある。先ほどの加藤先生のお話にもあったようにゼロメートル市街地に住む限りは「水害リスクと賢く共生する」ことが必要となる。一言でいえば「浸水から親水へ」という語呂合わせに凝縮されるが、これを小学生にもわかりやすく説明する方法はないかと自分なりに考え、『「ひたひた浸水」から「ニコニコ親水」へ』というのはどうかと考えてみたが、加藤先生の「水害リスクと賢く共生する」には及ばないと思う。ただ、我がNPOは小・中学生を対象とした出前授業も行っているので、小学生でもわかるような言葉も選んでいきたい。ところで、NPOの役割は住民の皆さんと行政の間の橋渡しをすることにある。本日は日曜にもかかわらず、荒川下流河川事務所や葛飾区の方もご出席いただいており、御礼申し上げると共に今後も宜しくお願いしたい。
次いで評議員会・理事会・総会が行われました。
この間に提起された質問とそれに対する回答を要約すると次の通りです。
質問 1. 西新小岩三丁目の有志の皆さんが勉強会の成果として区に提言を行ったという報告があったが、NPOの勉強会に果たした役割と、提言の内容、それに対する区の回答如何
回答 NPOの役割としては東京都まちづくり公社から支援を受けるのを仲介し、NPOの専門家をを派遣し、高台整備検討に役立つ種々の資料の提供と解説を行うと共に、国から荒川下流河川事務所長、区から防災担当者、東新小岩七丁目の中川町会長を招いてお話を伺ったり、まちづくり公社の助成金で静岡市清水区の津波に対する避難施設の見学会等を行ってきた。また、勉強成果をとりまとめるのに協力した。
回答と質問 原則として毎月1回、第1土曜日夜約2時間、会合に出席し、意見交換も行ってきた。
提言内容は先ほど事務局から報告があったものだが、そのうちのいくつかに触れると新小岩公園の高台化は全面高台化ではなく、一部を高台化してそこに防災ステーションを設置し、災害発生時の防災拠点としてほしいというものだった。ここには江戸川区からも10万人以上の人が避難してくるという。区としては新小岩公園にどのくらいの人が避難してくることを想定しているのか知りたい。
また、我々の避難所は新小岩中学だがコンセントが1階にあり水につかると避難所としての機能をうしなってしまうなどの問題があるので対応策をとっていただきたい。
更に喫緊の課題としては提言Vに記載の新小岩北地区公共施設整備計画に関係する問題である。これについて最近区による説明会が開催されたが、折角児童館や保育園などの老朽化した施設を取り壊し、新しい施設を設ける計画なのに災害、特に水害に対する配慮が足らないように思えることである。。是非とも災害発生時の避難所の機能を持った設備としていただきたい。こういった提言をしているが今までのところ、区からはご意見は十分考慮するといった抽象的な回答のみで、明確な回答がないのが現状である。
回答 提言に対する回答は追って文書で回答する。なお、一つ誤解があるのでご注意願いたい。それは地震の場合の避難場所と水害の場合の避難場所はちがうということである。水害を伴わない地震の場合の避難場所としての新小岩公園は受け入れ人数は2万人、公園の他に,UR、学校、河川敷を加えた地域での受け入れ可能人数が10数万人である。
なお今回新小岩公園を高台とするのは避難場所とするためのものではなく、防災拠点として活用するために行うものであり、この地が蔵前橋通り、荒川、首都高速道、JRからのアクセスが便利な位置に予備的あり、防災拠点設置にふさわしいと判断されたからである。
質問2 上平井中の学区内に住んでいるが、昔の理科部が地域防災研究部として活発に地域の防災
に役立つ活動をしていると聞いた。具体的にどのような活動をしているのか。
回答 域防災研究部はこのほど名称を変更し、地域防災ボランティア部となった。先日夏休みの活動計画が顧問の先生から送られてきた。去年まではNPOのメンバーが考えていたのだが、今年は自分たちで立派に計画を立ててきた。広く地域内を歩くことで活動の幅を広げたいとしている。その成果は秋に全校発表会で発表されるので期待してほしい。
質問3 大雨等で水害発生が予想されるとき我々住民はNHKなどテレビの報道などで情報収集に当たるが、区としてはどのような手段で区民に情報を伝えようとしているのか。
回答 防災行政無線を使って情報を伝達しているが、危ない状況になってからの情報連絡に限られるので、それ以前に河川の水位情報などをFM葛飾と提携して流すことを考えている。
質問4 FM葛飾の周波数がいくつか知っている人は少ないのではないか。予備的な情報にも防災無線は使えないのか
回答 防災無線は危険の迫った緊急時の使用に限られており、それ以前の段階での使用はできない。そこでFM葛飾にお願いしているわけである。その周波数789を大きく記載した広報車を走らせて周知徹底をはかっているのだが、さらに努力して周知度を高めていきたい。
質問5 新小岩公園高台化事業がスタートしたが、進捗状況と完了までのスケジュールは如何。
回答 高台化事業発足について皆さんにお知らせしてから半年になるが、現状は国交省に依頼して高台化のための土を運んでくれる事業者を募集している段階である。一応締め切りは6月末だが、これまで正式に手を挙げている事業者はいないとのことである。期限内に見つからないときはどうするかは改めて検討する。スケジュールは一応10年ということになっているが、土がどのように運ばれてくるのか決まっていないこと、東京都が計画している蔵前橋通と堤防通の交差方法が決まっていないことから正確な予測はできない。そこでまあ10年見ておけば大丈夫だろうということで決めたものである。公園施設の代替地も河川敷ということになっているが、他に適当な公園等があればその利用も考えたい。
質問6 東京ガスを代表して出席しているものだ。自分も別のNPOの役員をやっているが、本日受付で配られている広報誌を見てその充実ぶりに驚いた。これだけの広報誌を作るのは大変なご苦労があるかと思うがその一端をご紹介いただきたい。
回答 広報誌の編集を担当している渡邉だが、最初にお詫びを申し上げなければならない。折角いただいた勉強会の金井さんの原稿を手違いで掲載できなかったことをお詫び申し上げたい。本日帰宅後早速原稿を整理して、原稿が遅れて届いたため挟み込みにした渋谷校長先生の原稿共々、ホームページに掲載すると共に挟み込みで配布していきたい。
限られた予算のためカラーページは表紙の裏表と裏表紙の裏表だけだが、今回も表紙には昨年同様中川の写真と石川前理事長の中川並びにそのほとりで活躍されている皆さんを称える書を掲載すると共に、、裏表紙の表裏にはテラスの整備された中川七曲りの写真とセーヌ川やオランダの川のテラスの写真をのせて、この地を親水都市へと発展させることへの期待を滲ませている。近年地域の皆さんの寄稿が伸びていることはうれしいことだ。
質問7 先ほど第5号議案で「防災もまちづくり」という言葉が出てきたが、この意味をもう少し詳しく伺いたい「防災まちづくり」とどう違うのか。
回答 「防災もまちづくり」の反対語は「防災だけまちづくり」だが、防災だけ突出していると上手くいかないことも、防災を含めて総合的に考えることによって時代を先取りする事項についても対処できるようになってくる。例えば、福祉の問題についても防災と一緒に考えた方が良い案が出てきて、効率的に進められるといったようなことである。
総会終了後30数名の方が参加してささやかな懇親会を開催しました。地元の皆さんも多く参加され、なごやかな懇談のうちに6時過ぎに散会となりました。今年も「輪中会議」の開催や勉強会の支援を継続的に実施すると共に、「葛飾水辺ルネッサンス」構想を取りまとめ、水害リスクと賢く共生しながらこの地を安全で水と緑と安らぎの街にするべく頑張っていく所存です。皆様方の一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。