活動の年次記録

「親子で語り継ぐ大規模水害時の避難について」出前授業(2017/3/11)

      平成28年度葛飾区地域活動団体助成事業(上期)
 「親子で語り継ぐ大規模水害時の避難について」出前授業報告
 
日時: 平成29年3月11日(土) 9:40~10:25 第2校時
場所: 松上小学校集会室
対象: 第5学年68名
講師: 東新小岩七丁目町会 防火防災部長 竹本利昭
    東京大学院     博士課程   南 貴久
概要: 北風が吹くものの春の日差しが差込む集会室は、チャイムと同時に椅子を抱えた生徒達が入って来、整然と着席し白木先生の、「今社会で環境、森林、災害について学んでいますが、今日は、防災と水について二人の先生からお話して貰います。では挨拶をします。お願いします!」で、一斉に起立「よろしくお願いします!」の発声で授業が始まった。
 
<竹本講師>
竹本講師は、開口一番「東新小岩七丁目って知っている?」と生徒に聞くと、「知っている。」と多くの手が挙がり、講師は「そこでお父さん・お母さんと防火や防災の活動をしているよ。」とさり気ない自己紹介から始まった。
「皆さん!昔から怖いものに地震・雷・火事・親父・・」と言った途端「わあ!」と声が上がった。
 そこで講師は改めて「お父さんは怖くないんだね。でも昔の親父は、怖かったんだよ。おやじは、おおやまじが短くなった言葉だよ。」と語り掛けた。
 
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   「怖いものの最初は、地震だね。3月11日の地震覚えている?」の質問に大勢が「覚えている!」と反応した。
 「学校で地震が起きたら、頭と心臓を守り、家で起きたら家族皆で守って下さい。
何時だったか森永乳業の所で、目の前で雷がドン!と鳴った途端頭の中は真っ白になったよ。天気予報を聞いて危ないと思ったら外に出ないこと。昔は、雷が鳴ったら腕時計を外せ!なんて言ったよ。火事も怖いね。生き物の中で人間だけが火を使いこなせるんだよね。」と言いながらスクリーンに、二上小学校グランドでの仕掛け花火を映し出した。
 「この花火はおじさんが打ち上げたんだよ。ちゃんとコントロールされているから火事にならないけれど、火事になる一番の原因は何かな?」の質問に、「放火!次がタバコ!」と答えた生徒が居、続けて「若し、火事を見つけたらどうする?」の質問に、「大きな声で知らせる。」と次々に的確な答えが返って来た。
講師は「その通り、兎も角燃え易い物を置かないことだね。昼間は大人の人が 少ないから、皆さんが初期消火を手伝って下さい。」と地元町会の消火隊長に相 応しい話しをされた。
「次に、怖いものに洪水があるね。皆ゼロメートル地帯って知っているかな?」と質問すると生徒から、「川より低いところ。」と答えが返って来、「その通り海水面より低い地帯だね。若し水に漬かると2~3週間水が引かないから、東新小岩七丁目町会では垂直避難している人達に水や食料を届けるため、エンジン付きボートを漕ぐ訓練を二上小学校のプールで許可を貰ってやっているよ。
垂直避難と言うのは、遠くへ逃げる時間がないとき、高い階へ避難することを言うよ。逃げる時間がある時は、広域避難と言って千葉県などの高い所に逃げるんだよ。でも水害になったら色々な問題が起きるね。おじさん達は試行錯誤しながら備えているけど、若い皆さんにも是非知恵を貸して貰いたい。災害は何時来るか分からないから、家に帰ったら家族で話し合って下さい。」と結ばれた。
講師オリジナルの分かりやすい画面と飾らない語り口に生徒は、身近で近所のオジサンの感じで聞き入っていた。
 
 竹本講師の話を受けて、
<南講師>
 講師は先ず、「皆さん今日は。水と親しみながら水に備えよう!を話します。
私は学校で水害の時、避難し易くする勉強をしています。皆は『東大』って知っている?」と質問すると殆んどの生徒が、「知っている。」と手を挙げた。
「皆さんの暮らしの中で、自然災害に関するものに地震があります。」と言いながらスクリーンへ、地震の種類と阪神淡路・東日本・熊本地震を映し、「地面に付いた傷がこれです。」と言うと生徒から「ア!活断層だ!」の声が上がった。
 次に、「雨による災害に水害、洪水、土砂災害があります。水害にも内水氾濫と外水氾濫があります。」と言いつつ、矢継ぎ早に質問を繰り出した。例えば、「では、皆さんの知っている川は何か?日本で最も大きな平野は何か?平野は何で出来た?葛飾で水害があったと聞いたことがある人?誰から聞いた?」の質問に「荒川、中川、関東平野!石狩平野!川が運んできた砂で出来た。大勢の生徒が聞いた。お爺ちゃんお婆ちゃんから聞いた。」と答え、講師が「良く知っているね。」と感心すると、「塾で習った!」との答えが返ってきた。
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 次に、「カスリーン台風の折、堤防上で避難している人達」の画面では、講師が「中川町会長さんの話を聞きましょう。」と水を向けると、「この地域は水が来たら何週間も水が引かず、私は屋根の上で3週間生活しました。」と応じた。
 講師の「皆さんは街を歩いていて、赤い帯が巻き付けられている電柱を見たことありますか?」の質問に、殆どが、「有ります!」と手を挙げた。
 画面は、スマホや携帯で、自分の居る場所がどの位水没するかを疑似体験できる様子を映し出し、「皆さんも家の人と、防災アプリ『天才まなぶくん』で浸水深さを体験して下さい。」と呼び掛けた。
 次に、「水に親しむ、をお話ししましょう。日本には水を活かして生活している街が沢山有ります。」と言いながら、講師自身が撮影した三島市、富山市、小樽市の「水が豊かな親しめる風景」を説明、続いて「世界の街を見てみよう。」
と最初にオランダ次いでベルギー・フランス、韓国を紹介した。
スクリーンには、人道橋から川に飛び込んだり、ヨットを操ったりする子供達やボートハウス、セーヌ河のビーチ、釜山のスカイウォークが紹介され、そこに暮らし憩う人々の姿を見て、「アムステルダム知っている。わ!良いな!イチャイチャしている!」と次々に反応した。
 生徒達は、初めて見る「水と親しみ、楽しむ世界の人々」に吃驚感心した様子だった。
 一方、水が豊かな“葛飾中川”の画面に最初「詰まんない」の声も、七曲りやテラスの画面には「きれい!」の声が上がった。
講師は、「自然の中で暮らすことは豊かさと危険の両面があります。自分達の地 域の危険性を理解し、災害の時にどうなるかを想像しておくことが大切です。
 また、おしゃれにしていくこともできます。
 水害に強い街にしてゆくためにも水に親しんで欲しい。
 洪水が起きそうな時、何処にどうやって避難するかを話し合ってみよう。
洪水ハザードマップを家族一緒にチェックしましょう。
 地域の活動に小中学生が参加しているNHKの画面に生徒達は、「ワア!楽しそ
う!」の声が聞かれた。
 将来、この街をどんな街にしたいと思うか想像してみよう。
 水辺をどう使うかは、皆の工夫次第です。
 水と親しみながら災害の想像力を鍛えよう。」で授業は終わった。
 司会の白木主任先生から「今日は何の日かな?そう、東日本大震災の日ですね。
恐ろしいが欠かせない水を今日、教えて頂きました、貴重なお話、有難う御座いました。」と結ばれた。
この出前授業開催に当たり、大変お世話になった渋谷校長先生はじめ副校長先生、第5学年担任の先生方に心より御礼申し上げます。
有難う御座いました。
 
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