活動の年次記録

松上小学校4年生,校外で気温測定

平成17年3月3日

 松上小学校4年生、校外で気温測定などの学習会を実施


中川の堤防上で気温測定する生徒たち


 平成17年1月29日に当NPO主催による中川気温測定(トピックス参照)を実施しました。
 このとき、参加していただいた松上小学校の土岐教頭先生から「松上小学校の生徒にも是非経験させたい」という要請が当NPOにあり、以下のような学習会を行いました。

 学習会の概要
  1. 日時及び天候 平成17年3月3日(木) 13:20~15:25 天候:晴れ
  2. 参加者及び班編成 葛飾区立松上小学校
4年1組、2組の49名 各組6班の計12班
土岐教頭先生
庄司先生(4年1組担任)、山本先生(4年2組担任)
  3. 講師 NPO事務局 城之内 一成氏、徳倉副理事長
  4. 測定、実験、説明と講義
 学習のテーマ

  (1)外気温と風向の測定
  (2)体感温度と熱伝導率・輻射熱・気化熱・風の影響についての実験
  (3)中川との関係における西新小岩地区の地形についての学習


  (1)外気温と風向の測定
   予め決められた場所で気温と風向を測定し、場所により違いがあることを知ってもらいました。

  ①松上小学校校庭
  イ)簡易温度計及び風向測定用具(先生が作成した:割箸+ビニール紐)の各班への
    配布と取り扱いの説明
    簡易温度計は感知部分を直射日光に当てず、手で日陰をつくって測定すること。
  ロ)気温、風向の測定(13:35)

  ②(学校前道路を西に向かって進み)ポンプ場前
    表面温度計により日向と日陰の温度の差が10℃以上あることを説明しました。

  ③中川左岸堤防上への移動

  ④中川左岸テラス
  イ)気温、風向の測定(13:55)
    表面温度計で場所により次のように温度の違いがあることを説明しました。
     ・水面:5℃
     ・コンクリート表面:12℃
     ・砂地表面:16℃
     ・水中(予め温度計をセットしておいた):10℃

  ⑤再度(③より上流の)堤防上
  イ)気温、風向の測定(14:05)

  ⑥大成化工の駐車場(日陰)
  イ)気温、風向の測定(14:15)

 (2)体感温度と熱伝導率・輻射熱・気化熱・風の影響についての実験
   次の①~③の実験に参加してもらいました。

 ①鉄片と座布団の温度(熱伝導率と体感温度)
 同室に置いてある鉄片と座布団に手で触れてもらい(全員)挙手により感じた温度差を
 報告してもらったところ、ほとんどの人が鉄片の方が10℃~15℃位冷たいと感じていました。
  次に、表面温度計で鉄片と座布団の温度を測定したところ、共に11℃であることが解りました。
  座布団に比べて鉄の方が熱伝導率が高いので、鉄の方が温度が早く伝わる。(鉄の方が
 熱伝導率が高いので手の平の体温を早く奪うため、温度が低く感じることを説明しました。

 ②サーチライトとすだれ(輻射熱、気化熱の利用と省エネ)
  代表者にサーチライトの表面付近の温度(約60℃)とすだれを隔てたときの温度、
  更にはすだれに水を散布したときの温度を比較してもらったところ、段々低くなることが解かりました。


輻射熱を退治する実験中

  枝葉の多い木を家の周りに植えると、木の水分の効果で涼しくなり、夏でもクーラーを使わ
  なくてもすむことがあることを説明しました。

 

 ③風が吹くと気温が下がる。
  各班長が熱いお茶をどうやって飲むかを残りの人に見てもらいました。
  通常はお茶の表面をフーフー吹きながら飲むはずで、気温は風速1mで約1℃下がると言
  われていることを説明しました。

 (3)中川との関係における西新小岩地区の地形についての学習
   プロジェクターを使って、中川~江戸川間の断面図を見てもらいました。


徳倉副理事長の説明を聞く生徒たち

 これには、干潮時水位、満潮時水位、過去最高水位の線が描かれています。
 また、一部スーパー堤防化された荒川右岸や隅田川の写真を見てもらいました。
 その後、大成化工の屋上(3階建)で中川の水位(この時間は干潮時)と地面の高さを比較し、(堤防と同レベルにあり、水面が見える)3階からも中川を見てもらい、高さを実感してもらいました。

 潮には満潮(潮位が高い)と干潮(潮位が低い)がある。
 新小岩地区は、過去、地下水のくみ上げで地盤が沈下した。
 西新小岩地区の地面は干潮時の水面よりはわずかに高いが、新小岩地区には干潮時の水面より低いところもある。満潮時の水位は地面より約2mくらいの高さ(平屋の屋根の高さ)になる。
 中川左岸の堤防は切り立っており、水辺まで行けないので、当NPOでは、草木の緑や水と親しめる、環境の良いスーパー堤防化を提案している。
 以上のことを説明しました。


大成化工の屋上から中川を見る

 最後に、徳倉副理事長より、3枚の世界地図で見方についてのアドバイスがされました。日本の世界地図は日本が真中にあるが、オ-ストラリアの世界地図は全く逆さまになっている。アメリカの世界地図を見るとヨーロッパが近い。アジアは遠いので極東と言われている。


 まとめ

 生徒の感想文のコピー(20名分)をいただいたところクイズも織り込んだ自由新聞形式になっていましたが、記載されていることを学習内容により分類し、整理したところ、次のようになりました。

 ・ 鉄片と座布団 13件
 ・ 場所による温度の違い 13件
 ・ 満潮と干潮及び水位について 11件
 ・ 西新小岩地区は低地帯 11件
 ・ 堤防について  8件
 ・ 水中と水面の温度差   6件
 ・ サーチライトとすだれ  1件
 ・ 視点を変えた世界地図  1件
 ・ 熱いお茶の飲み方  1件

 講義に入る前に、城之内講師は生徒達に理解させられるか心配されていたが、この結果を見る限り生徒達は充分理解しているものと思われました。
 特筆すべきは、「鉄片と座布団」で殆どの生徒が「どっちが冷たいか」というクイズにしていたことです。余程印象に残ったのだと思います。学習に携わりながら、先生方、特に山本先生の熱意が生徒達の興味と頑張りを引き出したものと感じました。
 只、スーパー堤防についての感想がなかったのはちょぴり残念でした。
 最後に、生徒が書いた「自由新聞」はどれも素晴らしいものでした。作成してもらったうちの5編を以下に掲載させていただきます。

クリックすると拡大します。

 追記

 3月26日付けの読売新聞の江東版に『児童が調べた気温データ』と題して、松上小学校の児童の活躍が報道されましたので、紹介します。併せてご覧下さい。

 

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